響くのは廊下を歩く靴音。


歩くたびに廊下に落ちるは"血"


何でキミの事ばっかり考えているんだろう。


そうすれば、こんなヘマしなかったのに。



「少しヤバイ…か、な」



僕とした事が、だから最後の最後で失態をしたんだ。



早く報告しなきゃ…


彼に…



“ボンゴレ10代目”になったキミに。





++You are my thing++







「あぁ、お帰りなさ…ってヒバリさん!?」



ドアを開けると、机に座って書類を片付けていたキミがこっちを見て笑った。

…最初はね。

僕の腕に気がついた瞬間、顔色が変わったけど。



「ただいま」



その顔が面白くて、僕は笑いながら言った。



「ただいまじゃあないですよ!どうしたんですか!?その腕のケガ…」



イスから立ち上がって僕の所にやってきたキミは、ケガをしている方の腕を掴んだ。
キミの掴み方が悪いのか、少しだけ痛みが走ったけど。



「……っ、痛いよ。強く掴みすぎ」
「へ?…あ、ごめんなさい!」



そう言うと、さっきより優しく掴む。





本当にキミは変わっていない。


10年前に会った時のキミと。


キミの方が僕より上の立場のくせに、いつまでも僕の事を"ヒバリさん"と呼ぶ所も……


睨むと未だに怖がった顔する所も……


医療班に任せればいいのに、そうやって自分で僕の怪我の手当をするところも……






本当、変わらない。





だからかな…

僕が君の事をいつも目で追ってしまうのは。





「これで…よしっと……」



気がつくと、僕の腕は包帯でぐるぐる巻きにされていて反対の手の倍の太さになっていた。



「ありがとう」



本当は文句が言いたい所だけど
人に手当てしてもらって文句言うなんて失礼だから言わない。



「あぁ…そうだ。キミに報告しなきゃね…今日の事」
「え…」
「何?キミが命令したんじゃない」



そう言うと、あぁ…と言って自分が言った事を思い出したらしい。



「え…っと、ヒバリさん、それで…今日は…」
「全員死亡。僕がそんなに甘くはないってことはわかるでしょう?」



ニヤリと笑った僕に、キミは引きつった顔をした。



「だって…」
「え…?ヒバリさん……?」



「キミを狙った相手だよ?…そんな相手を僕が殺さないとでも??」



「あははは…はは……」


なんだか知らないけど、本当の事を言ったらキミは苦笑した。



「ねぇ」
「なんですか?」


「最近、キミのせいでおかしいんだ」


「え…?」



そう言うと、キミは僕に引きつった顔をした。



…別に、殴ったりはしないのに。



「全部が終わった後、何故だか浮かんできたのはキミの顔だった」
「……」
「だから生きる力がほんの少しだけ残ってた奴に僕は隙を見せて、腕を切られてしまった」



手当てされた腕を見ながら、僕は呟いた。



「でも、キミの事を思うと…なぜかイライラしないんだ」
「ヒバリさん……」





「ボンゴレ10代目…ううん沢田綱吉」





あくまで優しい声で、僕はキミにこう言う。





「責任とってよ」






無茶難題って言うのは知ってる。


でも


僕はこう言わないとキミを縛れないから。





知ってるんだ。





未だにキミは僕を怖がってるって事を。



キミは僕じゃない他の人のモノだって事も。







戸惑ってるキミに無理やり口づけて押し倒して
嫌がれば、力でねじ伏せて





そんな愛し方でしか表現できない
キミに向けた僕の愛





一生、キミが僕のモノになれればいいのに……






■END■

誰か×ツナ←ヒバリな感じの10年後。

私の中の攻めの雲雀さんはこんな感じです。