―僕が貴女の事を好きって言ったらどうしますか?― ++Each considers each other.++ 「イオン様、大丈夫ですか?」 いつもの様に、僕は皆の足を引っ張っていた。 導師守護者のアニスは僕の事を心配している顔で僕を見ている。 こればかりは仕方のない事だって知っている自分自身が嫌だった。 レプリカの代償として、僕の身体は被検体より弱いから。 だから医者には遠出とか止められている。 でも、僕はこの世界の事が知りたくて、自ら仲間に加わる決意をした。 そのせいで、皆に迷惑かけているのも知っている。 特に、1番心配させたくないアニスにまで心配をかけさせている。 「僕は・・・大丈夫ですから・・・アニス」 「嘘ばっかり!顔色真っ青じゃないですか」 アニスが頬を膨らませる。 そんな顔も可愛いと思ってしまう自分と、 何でこんなに迷惑かけているんだろうと思ってしまう自分が脳内で交差している。 「皆〜!ちょっと休憩して良い?」 アニスの提案で皆、一時休むことにした。 僕は、休んでいる間、仲間の皆を見ていた。 ルークは相変わらず、膨れっ面していて・・・。 僕のせいなのは解かっている。 「ルーク様〜♪」 アニスはルークに媚びを売っていた。 聞いたところによると、未来の公爵夫人の座を狙っている・・・らしい。 「親がああだから、自分はしっかりしなきゃいけないんです」と前に僕に言っていた。 でも、なぜだろう。 その姿を見ると、何か胸のあたりがムカムカしていた。 「イオン様?」 ハッとして目の前にいるアニスの顔を見た。 いつの間にか、ルークと話を終わっていたらしい。 「あ・・・いえ、どうしたんですか?アニス」 「何だか、イオン様がボーっとしていたから」 「いえ、何でもないんです」 ・・・嘘ついた。 本当はアニスの事考えてたんです、なんて言えはしない。 でも、気になっている事があった。 アニスは本当は僕の事をどう思っているのか、と。 「ねぇ・・・アニス」 「何ですか?イオン様」 アニスが僕の隣りに座って聞いてきた。 「本当は僕の事どう思ってます?」 「は・・・?」 いきなりの質問だからなのか。 アニスが驚いた顔をしていた。 「本当は僕の事、足手まといとか思ってますか?」 アニスはしばらく考えていた。 「・・・本当は少し思ってます」 しばらくしてから、アニスが口を開いた。 やっぱりアニスもそう思っていたんだ、と僕は思った。 「イオン様、でも」 「でも・・・?」 まだ話に続きがあるらしい。 「私、イオン様と旅をするのがとても楽しいです」 「え・・・?」 「何だか、ダアトにいる時のイオン様は何だか少し暗い顔をしてたけど、 今のイオン様凄く楽しそうだから」 「アニス・・・」 なんだろう。 もの凄く嬉しかった。 「あと、一度しか言いませんよ?イオン様」 「何がですか?」 アニスは何だかもの凄く言いにくそうな顔をしていた。 「イオン様の事、ですけど・・・」 あ〜もう…何て言えばいいのかな…とかアニスはぶつぶつ言っている。 「私、ルーク様とは違う意味で、イオン様の事、大好きです」 一瞬、自分の耳を疑った。 でも、その言葉はハッキリ聞こえた。 嬉しい。 もの凄く嬉しい。 「ありがとう。僕もアニスの事が大好きですよ」 笑顔でそう言うと、アニスは真っ赤な顔をして僕に背を向けた。 「そっ・・・そろそろ行こう!皆!!」 アニスは動揺を隠すように仲間に提案を持ちかけていた。 皆がそれに賛成する。 ティアが心配そうに僕に訊ねてきたが、 さっきより体調が良くなったので、と言って歩く事を決意した。 皆と一緒に旅をする事。 教団内では得られなかった事を知る事。 そして、何よりアニスと一緒に旅をする事。 僕はこんな幸せを持っててもいいのでしょうか。 「はい、イオン様」 「ありがとう、アニス」 アニスから差し出された手を僕は掴んで立ち上がった。 ルークのかけ声と共に僕たちは歩き出した。 □END□ うわ〜!! イオアニって実は難しかったんですね!! でも、楽しくかけました。