触れたくても触れられない。



+You wanted to touch it is not touched+




久々に一日自由行動になった。


理由は
ナタリアが風邪をひいたから。




「・・・ナタリア、入るぞ?」


そう言って俺はナタリアの部屋のドアを開けた。


「あれ、旦那・・・?」


中にはナタリア以外にジェイドがいた。
ジェイドはナタリアの診察をしている。


「おや、ガイですか」


ナタリアの診察が一通り終わったのだろう。
ジェイドが俺のほうへ向く。


「ナタリアは大丈夫なのか?」
「ええ、ただの風邪です。でも、今が1番辛い時でしょうね」


そう言ってジェイドはナタリアを見た。
俺も一緒にナタリアを見ると、ナタリアは辛そうに寝ている。


「あとは、起きたらこのクスリを飲ませたらいいんですが・・・」


ジェイドはテーブルの方へ指を指した。


「あ。そうですね〜。ナタリアの面倒はガイに任せましょうか☆」


何か思いついたようにジェイドは俺の肩をポンと叩いた。


「俺が・・・?別にいいけ「起きた時に私よりガイの方が良いでしょう?」


「好きな人が傍にいた方が・・・ね」


ジェイドは俺の言葉を遮って、楽しそうに言う。


と言うか・・・・・・
ひょっとして俺のナタリアの気持ちが旦那に見透かされてる?


「ちょっ・・・旦那もしかして・・・」
「それでは、頑張って下さいね♪」


そう言ってスタスタとジェイドは部屋を出て行ってしまった。


「はぁ・・・・・・」


溜め息を吐く俺は、ナタリアが寝ているベッドの隣りのベッドに座った。




「あ、言い忘れてました」




と言ってジェイドがドアを開けて顔を覗かせた。


「くれぐれも彼女に無理させないで下さい。
あ、誰にもこの部屋に入らないように言い聞かせますから・・・・・・」
「何言って・・・!!」

「それでは・・・・・・ごゆっくり」


なにやら意味深な笑いをしながら、ジェイドは帰った。


俺がナタリアにそんな事出来るはずないだろう?


第一ナタリアは俺の事、仲間としか思ってないはずだし。
俺の一方的な片想い。


今こうして、ナタリアの隣りに座って、本当は手でも握ってあげればいいのかもしれない。
 

でも無理なんだ。
触れたくても触れらない。



感情とは裏腹に生理的にキミを拒絶してしまうから。



そんなの嫌だろう?

触れたら、震えが来て顔が青ざめていくのは・・・・・・
見たくないだろう?


キミは、悲しい顔をするから。


・・・・・・過去が俺を縛る限り治らないし。
ふとそんなネガティブな考えが頭をよぎった時、ナタリアが何か喋った。


多分、寝言だろう。


「・・・・・・っ、・・・ィ」
「ん・・・?」


ナタリアが何か言っている。
俺は、顔を近づけてみる。


「・・・ガ・・・・・・イ」
「・・・・・・!!」



驚いた。


まさか俺の名前を呼ぶとは思わなかった。
さしずめ、婚約者のルークかアッシュかと思った・・・


「・・・・・・す」
「ん・・・?」


ナタリアは何か言いたそうな感じでうなされていた。


“す?”


俺は気になってナタリアに顔を近づける。



「・・・き・・・」



「え・・・」




“すき・・・?”



俺は我が耳を疑った。


ナタリアが俺の事が好き・・・?
確かにそう言ったよな?今。


ありえない・・・


こんな女性恐怖症な俺の事が?


その前に・・・
これって両想いって事なのか?


「ナタリア」


俺はナタリアの名前を呼んでみる。


・・・起きない。


「はぁ・・・」


俺はどうすればいい?


ふとそう思って時、ナタリアの腕がベッドの布団からはみ出ていた。
その手をナタリアが起きない様にそっと持った。


それはとっさに、だ。
気づいたときには、もう、触れていた。


「っ・・・・・・」


・・・・・・震えが来る。


でも俺はそれを堪えて、ナタリアの腕をそのままゆっくりと布団の中に戻してやる。


・・・なんだ、触れられるじゃないか。
無理だと思っていたのに。
震えは来るけど、何とか抑えられる。


ナタリアを見ると相変わらず、苦しそうな顔をしている。
俺は迷わず、ナタリアの手に自分の手を重ねた。


ナタリアの苦しみが少しでも和らいでくれれば、と思ったから。
そんな事を思ったせいか、少しだけナタリアの顔が良くなった気がする。




俺はナタリアが起きるまで、こうして待つ事にした。






-好きな相手に満足に触れられやしないけど-


-愛する気持ちは誰にも負けない-


-そんな自信しかないこんな男でも-



-貴女は愛してくれますか?-





■END■
すいません!中途半端な終わり方で・・・(泣)
次からは精進します・・・・・・